2006年10月2日
異議申立書
外務大臣
麻生太郎 殿
異議申立人 吉澤文寿外432名
異議申立人吉澤文寿代理人
弁護士 東 澤 靖
同 川 口 和 子
同 二 関 辰 郎
同 小町谷 育 子
同 魚 住 昭 三
同 古 本 晴 英
異議申立人及び異議申立人吉澤文寿代理人の住所・氏名
別紙異議申立人・代理人目録のとおり
異議申立てに係る処分
外務省の2006年8月17日付け部分開示決定処分(情報公開第02299号)
前項の処分があったことを知った年月日
2006年8月17日
第1 異議申立ての趣旨
異議申立てに係る処分記載の処分を取り消すとの決定を求める。
第2 異議申立ての理由
1 異議申立人は、2006年4月25日、処分庁に対し、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)に基づき、別紙請求文書目録記載の文書(以下、「本件請求文書」という。)の開示を請求した。
2 処分庁は、2006年8月17日、本件請求文書のうち、第4次日韓会談本会議議事録(第1回から第9回まで)及び同再開本会議議事録(第1回から第4回まで)(以下、これらの文書を総称して「本件文書」という。)について、これを部分開示とする処分(以下、「本件処分」という。)をした。
なお、第4次日韓会談本会議議事録第10回及び再開本会議議事録の第5回(第15回)は、本件処分の対象とはなっていない。
3 本件処分の理由として、以下の記載がある。
「公にすることにより、交渉上不利益を被るおそれがあるため、不開示としました。」
4 しかし、本件処分は、次の点において、違法又は不当であり、取消されなければならない。
(1) まず、外務省が、本件処分により開示した部分は、会議が開催された日時や出席者、次回会合の開催日等といった外形的な情報がほとんどであり、会議の実質的内容は基本的に含まれていない。
しかも、開示部分は、会議が開催された当時新聞発表された情報の範囲に一致している。そもそも交渉が現に進行している時点で新聞発表することができる範囲と、交渉がはるか昔に終結し会議から半世紀近く経過した現時点における開示範囲は異なるはずである。すなわち、2001年に情報公開法が施行され、行政機関の保有する情報については、その「一層の公開を図り、もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資すること」(法1条)が求められているのであり、行政機関の説明責任は、半世紀前の交渉時より一層広く認められるべきである。半世紀前の開示範囲と現在の開示範囲が一致すること自体きわめて不合理・不適切である。
(2) 次に、会談の相手国であった韓国では、本件文書に対応する韓日協定外交文書が韓国の情報公開法に基づいて2005年に全面開示されており、何人でも自由に当該文書を入手できる状態になっている。
(3) 韓国で開示されている第4次日韓会談本会議議事録を検討すると、そこ に記載されている内容は、たとえば、会議の出席者氏名、会議で使用する言語(韓国側は韓国語または英語、日本側は日本語または英語)、議事録の作成方法(双方の起草担当官が作成した後、次回会合時に提出して、双方の主席代表が確認する)、プレス・リリースの方法(双方が報道関係担当官を1名指名し、合同プレス・リリースを本会議の最後に首席代表の指示を受けた報道担当官が作成)、設置する委員会に関するやりとり(韓国側が設置する委員会を提案したところ、日本側が、まだ研究中であるとしてただちには回答をしなかったこと等)、次回会議の日程調整などである。
このうち、特に重要なのは議事録の作成方法であり、議事録は両国がそれぞれ作成したとはいえ、相互に内容確認をしていたという点である。かかる作成方法をとっていた以上、両国の議事録の内容は同一であるか、少なくとも著しく類似したものになっていたはずである。
したがって、同一ないし著しく類似の情報がすでに韓国において開示され何人でも入手できる以上、日本においてのみ、対応する情報を不開示とする根拠はまったくない。
韓国側議事録に記載された上記事項からすると、外務省が、本件処分で不開示とした部分に記載されている事項は、韓国側議事録と同様、会議での使用言語などの会議の円滑な運営方法等に関わる事項が中心であると推定される。したがって、これらの外形的事項を開示することによって交渉上の不利益を被るおそれがないことは明らかであり、本件処分は違法である。
本件処分は、法が定める不開示情報該当性判断を真摯に行ったものとは到底考えられず、この点からも不当なものである。
5 なお、外務省は、異議申立人に対し、2006年5月25日、「開示請求に係る決定期限の特例の適用について」と題する通知を送付し、「平成18年06月24日までに可能な部分について開示決定等を行い、残りの部分については、平成20年05月26日までに開示決定等を行う予定です。」として、開示決定等の期限を示した。そして、法11条の開示決定等の期限の特例を適用する理由を、「対象となった行政文書が著しく大量でありかつ、担当課において他に処理すべき開示請求案件が著しく多くまた、他の事務が著しく繁忙であり、開示請求日から60日以内にそのすべてについて開示決定等をすることにより事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがあるため」と説明した。その後、外務省は、上記開示決定等の期限である6月24日をはるかに過ぎた8月17日に、本件処分を行った。
法第11条は、「開示請求に係る行政文書のうちの「相当の部分」 につき当該期間内に開示決定等をすることを、行政機関に義務付けている。すなわち、処分庁は、通常60日以内に開示決定等ができる分量について、開示決定等を行わなければならないはずであった。
しかし、開示決定等がなされたのは、別紙請求文書目録の57項目のうち1項目の一部で、分量にするとわずか65頁にすぎない。
また、外務省は、残りの部分についての開示決定等について約2年の期間を示している。法11条の「相当の期間」とは、行政機関が処理するに当たって必要とされる合理的な期間をいうが、本来の処理期間である30日と比較すると、2年の期間は著しく長期にわたるものであり、およそ「相当の期間」とは思われない。
このように、外務省は、異議申立人の開示請求に対し、情報公開法の規定に従った処理を行っておらず、真摯な対応をしていない。
処分庁の教示
「この決定に不服があるときは、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条に基づき、この決定があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に外務大臣に対して異議申立てをすることができます。」との教示があった。
異議申立人吉澤文寿代理人目録
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請求文書目録
1
日韓会談開始(1951年10月)前の準備作業に関するすべての公文書
2
第1次会談予備会談(1951年)本会議会議録
3
第1次会談予備会談(1951年)在日韓国人国籍処遇問題会議録
4
第1次会談予備会談(1951年)船舶問題会議録
5
上記以外の、第1次会談予備会談(1951年)関連のすべての公文書
6
第1次会談(1952年)本会議会議録
7
第1次会談(1952年)在日韓国人法的地位委員会会議録
8
第1次会談(1952年)請求権委員会会議録
9
第1次会談(1952年)船舶委員会会議録
10
第1次会談(1952年)漁業委員会会議録
11
第1次会談(1952年)基本関係委員会会議録
12
上記以外の、第1次会談(1952年)関連のすべての公文書
13
第2次会談(1953年)本会議会議録
14
第2次会談(1953年)在日韓国人法的地位委員会会議録
15
第2次会談(1953年)船舶委員会会議録
16
第2次会談(1953年)請求権委員会会議録
17
第2次会談(1953年)漁業委員会会議録
18
第2次会談(1953年)基本関係委員会会議録
19
上記以外の、第2次会談(1953年)関連のすべての公文書
20
第3次会談(1953年)本会議会議録
21
第3次会談(1953年)在日韓国人法的地位委員会会議録
22
第3次会談(1953年)請求権委員会会議録
23
第3次会談(1953年)漁業委員会会議録
24
第3次会談(1953年)基本関係委員会会議録
25
上記以外の、第3次会談(1953年)関連のすべての公文書
26
休会期(1953年10月〜1958年4月)における日韓会談再開のための外交活動に関連したすべての公文書
27
第4次会談(1958〜1960年)本会議会議録
28
第4次会談(1958〜1960年)在日韓国人法的地位委員会会議録
29
第4次会談(1958〜1960年)請求権委員会会議録
30
第4次会談(1958〜1960年)漁業委員会会議録
31
第4次会談(1958〜1960年)基本関係委員会会議録
32
上記以外の、第4次会談(1958〜1960年)関連のすべての公文書
33
第5次会談(1960〜1961年)本会議会議録
34
第5次会談(1960〜1961年)在日韓国人法的地位委員会会議録
35
第5次会談(1960〜1961年)請求権委員会会議録
36
第5次会談(1960〜1961年)船舶委員会会議録
37
第5次会談(1960〜1961年)文化財委員会会議録
38
第5次会談(1960〜1961年)漁業委員会会議録
39
上記以外の、第5次会談(1958〜1960年)関連のすべての公文書
40
第6次会談(1961〜1964年)本会談会議録
41
第6次会談(1961〜1964年)在日韓国人法的地位委員会会議録
42
第6次会談(1961〜1964年)請求権委員会(一般請求権・文化財・船舶)会議録
43
第6次会談(1961〜1964年)漁業委員会会議録
44
第6次会談(1961〜1964年)基本関係委員会会議録
45
第6次会談(1961〜1964年)非公式会談会議録
46
第6次会談(1961〜1964年)日韓予備交渉会議録
47
第6次会談(1961〜1964年)開催期間における日・韓・米三国間の外交交渉の記録
48
上記以外の、第6次会談(1961〜1964年)関連のすべての公文書
49
第7次会談(1964〜1965年)本会談会議録
50
第7次会談(1964〜1965年)在日韓国人法的地位委員会会議録
51
第7次会談(1964〜1965年)請求権及び経済協力委員会会議録
52
第7次会談(1964〜1965年)漁業委員会会議録
53
第7次会談(1964〜1965年)基本関係委員会会議録
54
第7次会談(1964〜1965年)非公式会談会議録
55
第7次会談(1964〜1965年)時の椎名悦三郎外相訪韓関連の公文書
56
第7次会談(1964〜1965年)時の李東元外相訪日関連の公文書
57
第7次会談(1964〜1965年)時の条文作成のための会合関連の公文書
58
上記以外の、第7次会談(1964〜1965年)関連のすべての公文書