韓日請求権協定文書公開訴訟 第1回 弁論期日原告陳述書」
崔鳳泰
私は、現在韓国で弁護士をしています。あわせて、日本の東京大学大学院で労働法を専攻しました。日本に留学している間、韓国の戦争被害者たちが、東京地方裁判所を始めとして各地の法廷で正義を回復するために、闘争をしているのを見、そして日本の弁護士たちと市民たちが彼らの孤独な闘争を支援してくれるのを見て大きな感銘を受けました。
留学を終えて帰国して、弁護士として韓国の戦争被害者たちを代理して訴訟をしながら韓日請求権協定が、原告たちの権利主張に重大な障害原因になっているということを理解しました。
そうして韓国で私は、被害者たちと一緒に韓国政府を相手に、韓日請求権協定文書に関して公開を要請しましたが、韓国政府は日本との外交上の理由を挙げて公開をしませんでした。そこで、被害者たちを代理して韓国政府を相手に2002年文書公開訴訟を提起し、2004年2月13日ソウル行政裁判所で一部勝訴し、ついに2005年8月韓国では関連文書などがすべて公開されました。あわせて、韓国政府は文書公開に当たって、韓日請求権協定の法的性格と韓日請求権協定により解決された部分と解決されていない部分について、法的見解を発表したことがあります。
私は、韓国政府が韓日請求権協定文書を公開すると同時に、日本政府と一緒に、この作業をしなければならないと考えましたし、今もそうしなければならないと信じています。
法治主義国家で、被害者が誰を相手に法的権利を主張すべきかに関して、あいまいにすることほど重大な人権侵害はありません。
韓国では、韓日請求権協定の公開に伴い、糾明された韓国政府の責任について追加的な措置がなし遂げられています。しかし、その責任の範囲および程度について、韓国で公開された文書だけでは、不明確な点が多く、韓国政府と被害者間に新しい葛藤が生じています。私は、日本でも韓日請求権協定関連文書が速やかに公開されて、被害者たちの請求権について、法的責任が果たして誰にあるのか明確に明らかにされなければならないと考えます。
私は、日本政府が韓国で公開された文書を公開できないといういかなる理由もないと考えます。日本政府も関連文書を全部公開し、韓日請求権協定によって解決された部分と解決されていない部分について法的見解を明らかにし、万一、韓日請求権協定の解釈と関連し、韓国政府と互いに別の見解だというのなら韓日請求権協定第3条に規定された手続きを通して、解釈上の争いを平和的に解決するのが、法治主義を国家の基本原理にしている韓日間の唯一の選択でしょう。
韓国でも、司法部はこの事件文書などが、作成から30年が過ぎて、請求権協定の解釈と関連し、文書を利用する必要性の大きさと同時に知る権利は、人間の尊厳と価値および人間らしい生活をする権利と関連するので、公開しなければならないと判断しました。このような論理は、日本の司法部でもそのまま適用することができるだけではなく、すでに韓国で公開された以上、公開された部分までも非公開にするいかなる理由もないと考えます。
韓日両国司法部の正義感あふれる判決により、法治主義が韓日間に広がり、被害者たちが正義を共に回復することを願ってやみません。