日韓会談文書・全面公開を求める会

(共同代表:太田 修、田中 宏

 西野瑠美子、山田昭次、吉澤文寿)

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記者会見要旨

 

 外務大臣(麻生太郎)は、本年3月28日付で、日韓会談文書の情報公開請求について、従前不開示と決定していた処分を取り消し、不開示部分を公開するとの決定を行い、申立人らに通知してきた。

 

 当会に所属する日韓432名の市民は、1951年から1965年までの間に第1次から第7次会談にわたって日本と韓国の両政府の間で行われた国交正常化交渉(日韓会談)の記録文書について、その全面公開を求めてきた。日韓会談は、戦争処理や財産請求権そして在日韓国人の法的地位など重要な問題が協議され、その後の日韓関係を方向付けた外交交渉であるが、その記録は報道用に発表された内容を除き、現在まで日本政府によって非公開のままとされてきた。他方で韓国では、多くの市民のたたかいと韓国政府の英断によって、2005年に日韓会談文書の全面公開が実現されるにいたっている。

 当会の申立人らは、外交文書の非公開に固執する日本政府の対応をあらためさせ、広く市民や研究者の目で日韓会談を検証することを可能とするために、2006425日に外務大臣に対する情報公開請求を行った。これに対し外務大臣は、数度にわたって回答を延期した上で、同年817日に至ってようやく、請求文書のごく一部である第4次会談に関する文書のみ開示決定を行った。しかし、その内容は、標題や報道発表部分を除いてはすべて黒塗りという大半を不開示とするものであった。申立人らはやむなくその決定に対し、異議申立て(同年102日)をするとともに、東京地方裁判所に処分取消等を求めた訴訟提起(同年1218日)を行っていた。

 今回の決定は、上記の異議申立に対するものであり、「他国との交渉上不利益を被るおそれがあると認められるとまでは言えず、法53号の不開示情報には該当せず」として不開示理由はないとの判断の下に、不開示部分をすべて公開するというものである。このことは、申立人らが再三主張してきた内容を認めるものであり、当会は、情報公開制度の趣旨と市民の常識に基づく判断であることを歓迎したい。そしてまた、この決定は、外交問題を市民の目から隠し通すことによって民主主義の基礎を危うくしてきた外務省の姿勢を変えていく第1歩となることを期待したい。

 しかしながら他方で外務大臣は、上記の第4次会談文書を除く、第1次から第7次にわたる多くの会談文書については、情報公開請求から1年を経過しようとするのに、何らの処分も決定も行わないまま放置している。このような外務省の姿勢は、請求に対する決定は原則として30日以内に行うことを求める情報公開法の趣旨から大きく外れたものである。当会は、外務大臣及び日本政府が、日韓を含む市民に対する説明責任をまっとうするために、速やかに日韓会談文書を全面公開する英断をなすように求める。