日韓会談・全面公開を求める会韓国公開の日韓文書
『第4次韓・日会談本会議会議録第1-15次』日本語抄訳
『第4次韓・日会談本会議会議録第1-15次、1958.4.15−1960.4.15』日本語抄訳

1次 1958年4月15日 2次 1958年4月22日 3次 1958年4月23日
4次、1958年4月25日 5次 1958年4月30日 6次、1958年5月6日
7次、1958年5月8日 8次、1958年5月12日 第9回 1958年5月14日
第10回 1958年10月1日 第11回1959年8月12日、続開
第12回 1959年8月18日
第13回 1959年8月26日
第14回 1959年9月8日 第15回1960年4月15日(続開)

訳者註:この資料は2005年8月に韓国政府が公開した日韓会談外交文書のうち、『第4次韓・日会談本会議会議録第1-15次、1958.4.15−1960.4.15』を抄訳したものである。今回は外務省が開示決定をした資料(『第4次日韓全面会談の本会議 第1〜14次会合』)の非開示決定部分の内容を明らかにする作業であるため、開示部分と重複するもの(プレス・リリースなど)の訳出を省略した。なお、韓国側の資料では第15次会合(1960年4月15日開催)が含まれているが、今回の開示決定にこの会合の会議録は含まれていないため、訳出を行なわなかった。
翻訳は第1〜8次を吉澤文寿、第9〜14次までを太田修が担当した。

1.1次 1958年4月15日

(5頁)
1958年4月15日、東京
概要会議録
第1次本会議
第4次韓日全面会談

1.日時及び場所:1958年4月15日午前10時30分から午前11時5分まで、外務省にて

2.出席者
  韓国側 :林炳稷国連大使
       金裕澤駐日大使
       柳泰夏駐日公使
       李ホ(さんずいに皓)氏
       崔圭夏駐日参事官
       ラ・チェハン総領事
       チン・ピルシク一等書記官
       ワン・スヨン氏
       カン・ヨンギュ外務部亜州課長
       ハン・キボン、リ・ウォンデ、リム・テキョン各氏

  日本側 :澤田廉三首席代表
       代表:井上孝治郎、伊関祐二郎、平賀健太、大隈渉、板垣修、高野藤吉、
       正示啓次郎、西村健次郎、粟沢一男各氏
       補佐:ハセガワ・シンゴ、ナカガワ・トヨキチ、イマイ・ミノル、スガヌマ・
       キヨシ、イソダ・ヨシスケ、ハンダ・ゴウ、タチカワ・モトイ、ナカムラ・
       マサミチ、ヤベ・マサノブ、ヨシダ・トシロウ各氏

3.議事録
 a)日本側首席代表の澤田氏が日本側代表団を韓国側代表団に紹介した。
 b)韓国側首席代表の林駐日大使が日本側に韓国側代表団を紹介した。
 c)日本側首席代表の澤田氏が挨拶を述べた(挨拶文原稿の写しを添付する)
 d)韓国側首席代表の林駐日大使が挨拶を述べた(挨拶文原稿の写しを添付する)
 ※(訳注)しかし、公開された資料では挨拶文の添付は日韓双方とも無し。
 e)次回の日程を決めた。
/澤田氏

(6頁)
澤田氏:日本側は次回本会議を1958年4月22日に行なうことを提案した。
林大使:韓国側は22日よりも21日の方がよいと述べた。
澤田氏:21日は月曜日で、20日は日曜日である。われわれは月曜日に次回本会議に向けて準備をしておきたい。
林大使:韓国側は次回本会議を22日に行なうことを受け入れた。

林大使:22日の何時に会うのがよいか。
澤田氏:午前10時30分ではどうか。
林大使:異議なし。

 f)プレス・リリース(日本側資料と同文のため省略、以下同じ)
 g)第4次日韓全面会談の第1次会議は1958年4月15日午前11時5分まで行なわれた。
 
 −了−

*

2.2次 1958年4月22日

(9頁)
第4次日韓全面会談第2次本会談概要会議録

1.日時及び場所:1958年4月22日(火)午前10時40分から午前11時7分まで、
  外務省311号室にて

2.出席者
  韓国側:林炳稷氏
      柳泰夏氏
      李ホ氏
      崔圭夏氏

  日本側:澤田廉三氏
      井上孝治郎氏
      伊関祐二郎氏
      平賀健太氏
      大隈渉氏
      高野藤吉氏
      正示啓次郎氏
      西村健次郎氏
      粟沢一男氏

3.議事録
 (1)林氏と澤田氏は第4次日韓全面会談の議題が1957年12月31日に合意したものと同一とすることで合意した。
 (2)第4次日韓全面会談の関係手続き事項について、林氏と澤田氏は以下の項目で合意した。
  (A)言語
   韓国側は韓国語または英語を使用し、日本側は日本語または英語を使用する。双方は相手側で話される言語を理解するため、自国側で翻訳作業を行なう。
  (B)概要会議録
   双方は本会議会合の概要会議録を作成する起草担当官を一人指名する。
   概要会議録は指名された起草担当官によって交互に、英語で作成される。作成された概要会議録は双方の起草担当官によって作成された後、次回会合時に提出され、双方の首席代表が承認することとする。
   (C)プレス・リリース
   双方が報道関係担当官を一名指名する。合同プレス・リリースは各本会議の最後に、双方の首席代表の指示を受けた報道関係担当官によって作成される。

(10頁)
 (3)林氏は全面会議の円滑な進行のため、次のような委員会及び小委員会を構成することを提案した。
   (A)基本関係委員会
   (B)韓国の対日請求権委員会
    (@)船舶返還小委員会
    (A)韓国文化財返還小委員会
    (B)その他の請求権についての小委員会
   (C)「在日韓国人」法的地位委員会
   (D)漁業及び平和線委員会
  澤田氏は委員会の構成については行政レベルで協議してきたと述べた。また、澤田氏は上記の提案を日本政府に報告して検討願うこととすると述べた。
 (4)次回本会議を1958年4月23日午後4時より行なうことで合意した。
 (5)林氏は崔圭夏氏を、澤田氏は大隈渉氏をそれぞれの起草担当官及び報道関係担当官に指名した。
 (6)テキストに添付されるプレス・リリースは双方の首席代表によって決定されたものである。

−了−

(11〜14頁)
1958年4月22日、東京
概要会議録
第2号
第4次日韓全面会談第2次本会議

1.時間及び場所:1958年4月22日、午前10時45分から午前11時7分まで
2.出席者
  韓国側:前回と同様。但し、金大使は欠席。
  日本側:前回と同様。但し、板垣局長は欠席。
3.議事録
 a)第4次日韓全面会談の議題の採用
  澤田氏:第4次日韓全面会談の議題は1957年12月31日に合意したものと同一となるだろう。
  林大使:第4次韓日全面会談の議題は1957年12月31日に合意したものと同一となるだろう。
  (双方は第4次韓日全面会談の議題について合意した。)

 b)第4次韓日全面会談の関係手続き事項の決定
 (1)言語
  澤田氏:日本側は日本語または英語を使用し、韓国側は韓国語または英語を使用する。双方は相手側で話される言語を理解するため、自国側で翻訳作業を行なう。
  林大使:韓国側は韓国語または英語を使用し、日本側は日本語または英語を使用する。双方は相手側で話される言語を理解するため、自国側で翻訳作業を行なう。
  (双方は言語について上述の通りに合意した。)
 (2)概要会議録
  澤田氏:双方は本会議会合の概要会議録を作成する起草担当官を一人指名する。概要会議録は指名された起草担当官によって交互に、英語で作成される。作成された概要会議録は双方の起草担当官によって確認された後、次回会合時に提出され、双方の首席代表が承認することとする。
  林大使:双方は本会議会合の概要会議録を作成する起草担当官を一人指名する。概要会議録は指名された起草担当官によって交互に、英語で作成される。作成された概要会議録は双方の起草担当官によって確認された後、次回会合時に提出され、双方の首席代表が承認することとする。
  (双方は概要会議録の編集について合意した。)
 (3)プレス・リリース
  林大使:双方が報道関係担当官を一名指名する。合同プレス・リリースは各本会議の最後に、双方の首席代表の指示を受けた報道関係担当官によって作成される。
  澤田氏:双方が報道関係担当官を一名指名する。合同プレス・リリースは各本会議の最後に、双方の首席代表の指示を受けた報道関係担当官によって作成される。
  (双方がプレス・リリースの件で合意した。)

 c)委員会の構成
 林大使:全面会談の円滑な進行のために、私は今次会談の委員会の構成について、以下のように提案したい。委員会の名称も以下のように提案したい。
  1.基本関係委員会
  2.韓国の対日請求権委員会
    この委員会では以下の通りの小委員会が設置される。
    (@)船舶返還小委員会
    (A)韓国文化財返還小委員会
    (B)その他の請求権についての小委員会
  3.「在日韓国人」法的地位委員会
  4.漁業及び平和線委員会
 これらが私の提案である。紳士であるあなたに上記の私の提案を考慮していただくよう要請する。
 澤田氏:委員会の構成に対するあなたの提案は行政レベルの会合で考慮されることになると思われる。(2分ほどの間をおいて、)もちろん、私は政府にあなたの提案を考慮するようにと言っておく。できる限り速く韓国側に回答するようにする。
 林大使:了解した。

 d)次回本会議の日時の設定
 林大使:1958年4月23日がよいと思う。
 澤田氏:了解した。明日(23日)の午後4時より会合を持つのはどうか。
 林大使:異議無し。

e)概要会議録の起草担当者及び報道関係担当官の指名
 林大使:報道関係担当官と概要会議録の起草者を指名するのはどうか。
 澤田氏:了解した。わが側の代表として、大隈渉氏を概要会議録の起草と報道関係担当の責任者として指名する。
 林大使:こちらは崔圭夏を概要会議録の起草と報道関係を担当する要員として指名する。

f)第2次本会議についてのプレス・リリース
 澤田氏:プレス・リリースのテキストを読み上げる。「第4次日韓全面会談の本会議第二回会合は1958年4月22日午前10時30分から外務省にて開催された。本会合において双方は全面会談における議題は、1957年12月31日に合意されたものと同一であることを確認し、また会談の関係手続き事項について合意した。なお第3回会合の開催日を1958年4月28日とすることを決定した。」
 林大使:プレス・リリースのテキストを読み上げる。「第4次日韓全面会談の本会議第二回会合は1958年4月22日午前10時30分から外務省にて開催された。本会合において双方は全面会談における議題は、1957年12月31日に合意されたものと同一であることを確認し、また会談の関係手続き事項について合意した。なお第3回会合の開催日を1958年4月28日とすることを決定した。」
 (以上のように、双方の首席代表がプレス・リリースの草稿を決定した。)

 本会合は1958年4月22日午前11時7分まで行なわれた。

―了―

3.3次 1958年4月23日

(16〜17頁)
1.日時及び場所:1958年4月23日(水)、午後4時25分から35分まで、
         外務省311号室にて。
2.出席者
  韓国側 林炳稷氏、柳泰夏氏、李ホ氏、崔圭夏氏
  日本側 澤田廉三氏、井上孝治郎氏、伊関祐二郎氏、平賀健太氏、大隈渉氏、
      高野藤吉氏、正示啓次郎氏、西村健次郎氏、粟沢一男氏
3.議事録
 (A)前回の会議で林代表から出された、委員会及び小委員会の構成についての提案に関連して、澤田代表は日本側が関係省庁と協議しながら韓国側提案を研究中であると述べた。
 林代表は澤田代表が韓国側提案について機敏に考慮し、可能な限り催促の日時で実質的な会議が始められるよう望むと表明した。
 (B)第4次本会議を1958年4月25日午後4時より開催することで合意した。
 (C)ここに添付されたプレス・リリースが両首席代表によって決定された。

―了―

(18〜19頁)
1958年4月23日、東京
会談要旨
第3号
第4次日韓全面会談第3次本会議

1.時間及び場所:1958年4月23日午後4時25分から午後4時35分まで、外務省にて。

2.出席者
  韓国側:前回と同様
  日本側:前回と同様

3.会談要旨
 澤田氏:林代表から示された提案はわが代表団の研究課題となっている。わが側はまだ研究を終えていない。あなたの提案を研究するためにもう少し時間をいただきたいのだが。
 林大使:わが代表団はできる限り速く重要な作業に取り組みたいと気をもんでいる。このように何もせずに時間が過ぎるのを許したくない。
 澤田氏:本交渉の円滑な進行のため、わが側はあなたの提案に対して、真剣かつ重要な考慮を払っているところである。
 林大使:わが側はこの会談の円滑な進行のために、できる限り速くわれわれの提案の研究を終えることを日本側に望みたい。

 林大使:第4次会議のことだが、明日再会するのはどうか。
 澤田氏:たとえ明日に再会したいと思っても、わが側はあなたの提案を研究するためにもう少し時間がほしい。もし明日開催するのであれば、あなたに何度も時間を請えれば幸いだが、われわれはあなたにそう何度も時間を請いたくない。わが側があなたの提案を研究し終えたら、次回会合について韓国側と交渉したい。
 林大使:わが側はできる限り速く重要な作業に取り組みたいととても心配している。できる限り速く私の提案を研究し終えることを望む。だから、私は次の本会議を明日開催したいと述べているのである。
 澤田氏:先に述べたように、わが側はあなたの提案を研究するためにもう少し時間がほしいと請いたくない。研究が終わったらすぐに、交渉の速やかな進行のために、あなた方に接近したい。
 林大使:第4次本会議を1958年4月25日に開催することを提案したい。48時間あればわれわれの提案を研究するのに十分だと思う。
 澤田氏:では、1958年4月25日午後4時より次回会議を開催することを提案したい。
 林大使:異議無し。

 林大使:第4次日韓全面会談第3次本会議についてのプレス・リリースを準備しよう。
 澤田氏:今日の会議では集中して話し合ったことがない。もし、記者が尋ねたら、われわれは全面会談の円滑な運営のための方法を研究したと答えるのはどうか。
 林大使:われわれは7人の韓国人記者を外に待たせてある。会議の後で、われわれは彼らに何か言わねばならない。あなたが述べたように、本交渉の円滑な運営のための方法を双方で研究したという趣旨で報道に伝えることにしよう。
 澤田氏:異議無し。
 林大使:第4次本会議を25日に開催することも報道に伝えてはどうか。
 澤田氏:異議無し。

 この会議は1958年4月23日午後4時35分まで行なわれた。

 第3次本会議を終えてから、双方の担当官がプレス・リリースの草稿を起草した。双方はここに添付されている、以下のプレス・リリースを公開することに合意した。

―了―

4.4次、1958年4月25日

(22頁)
概要会議録
第4次日韓全面会談第4次本会議
1.日時及び場所:1958年4月25日、午後4時25分から午後4時45分まで、外務省311号室にて。
2.出席者
  韓国側 林炳稷氏、柳泰夏氏、李ホ氏、崔圭夏氏
  日本側 澤田廉三氏、井上孝治郎氏、伊関祐二郎氏、平賀健太氏、大隈渉氏、
      高野藤吉氏、正示啓次郎氏、西村健次郎氏、粟沢一男氏
3.議事録
 (1)崔氏と大隈氏がそれぞれ作成した第4次韓日全面会談第2次及び第3次本会議の概要会議録が双方の首席代表によって承認された。
 (2)澤田氏は日本側が委員会の構成についての韓国側の提案を研究しているところだと述べた。林氏は双方が直ちに実務に取り組めるように、できる限り速やかに研究作業を完了することを望むと述べた。
 (3)次回会議を1958年4月30日とすることで合意した。
 (4)添付のプレス・リリースは双方の首席代表によって決定された。

―了―

(23頁〜25頁)
1958年4月25日、東京
会談要旨
第4号
第4次韓日全面会談第4次本会議
1.時間及び場所:1958年4月25日午後4時25分から午後4時55分まで
2.出席者
  韓国側:前回と同様
  日本側:欠席した西村氏と板垣氏を除いて前回と同様。
3.会談要旨
 澤田氏:本日最初に行なうべきことは第4次韓日全面会談第2次及び第3次本会議概要会議録の承認である。
 澤田氏:貴方の草稿を読み上げていただけないか。
 林大使:第2次本会議会議録は日本側で起草されたのだから、貴方が最初に読み上げるべきだ。
 林大使:英語がわからない者もいるので、われわれの通訳に英語を韓国語に翻訳させたいと思う。
 澤田氏:了解した。
 (ここでは、わが側代表団の補佐役の一人であるハン・キボン氏が会合の間、通訳となった。)
 (ここでは、概要会議録の起草担当者である日本側職員の大隈氏が、双方の代表団の記録担当者によって作成された第2次本会議の概要会議録の草稿を読み上げた。その草稿は添付されている。)
 澤田氏:大隈氏が今読み上げた概要会議録を承認していただけるか。
 林大使:承認は、わが記録担当官である崔氏がわれわれの草稿を読み上げてから行なうべきである。
 (ここでは、韓国側の概要会議録起草担当官である崔氏が第2次本会議の概要会議録の韓国側草案を読み上げた。その草稿は添付されている。)
 澤田氏:では、承認しようか。
 林大使:よろしい。
(ここで、双方の首席代表は第2次本会議の概要会議録を承認した。)
 澤田氏:第3次本会議の概要会議録を承認しようか。
 林大使:第3次本会議の概要会議録はわれわれが起草したので、今回はわれわれから読み上げるべきである。
 (韓国側概要会議録起草担当者の崔氏が第3次本会議会議録の草稿を読み上げた。その草稿は添付されている。)
 (日本側概要会議録起草担当者の大隈氏が第3次本会議会録の草稿を読み上げた。その草稿は添付されている。)
 林大使:承認しようか。
 澤田氏:よろしい。承認する。
 
 澤田氏:委員会の構成についてだが、日本側代表団は韓国側提案をまだ研究しているところだ。
 林大使:研究が終わったら、われわれの提案に対して速やかな回答をいただきたい。
 澤田氏:本日話し合うべき議題はすべて終わったと思う。
 林大使:次回(第5次)本会議の日程を決めたい。
 林大使:この件について日本側から提案していただけないか。
 澤田氏:第5次本会議を1958年4月30日(水)に行なうことを提案したい。ご存じの通り、今度の火曜日(4月29日)は天皇誕生日である。したがって、水曜日(4月30日)に次回本会議を開催すれば都合がよい。
 林大使:いいだろう。
 林大使:1958年4月30日の何時に集まるのか。
 澤田氏:いつものように午後4時としたい。
 林大使:次回本会議は午後ではなく、午前に行なうのはどうか。
 井上氏:午後に次回会本会議を行なう方が、われわれにとって簡単かつ都合がよい。水曜日の会合に向けて少しでも準備する時間がほしい。
 林大使:会合後に本国政府と相談しなければならない。したがって、韓国側としては午後4時ではなく、午後3時に次回本会議を行なうと都合がよい。
 澤田氏:異議無し。
 林大使:プレス・リリースを準備するのはどうか。本日の会議についてのプレス・リリースの草稿を、双方の報道担当官に起草させるのはどうか。
 澤田氏:よろしい。異議無し。この作業を双方の報道担当官に任せよう。
 (ここで、双方の報道担当官がプレス・リリースの作成に取りかかった。草稿は添付されている。)第4次韓日全面会談第4次本会議は1958年4月25日午後4時55分に終了した。

―了―

5.5次 1958年4月30日

(30〜31頁)
第4次韓日全面会談第5次本会議概要会議録
1.日時及び場所:1958年4月30日午後3時15分から午後3時30分まで、外務省311号室にて。
2.出席者
  韓国側 林炳稷氏、柳泰夏氏、李ホ氏、崔圭夏氏
  日本側 澤田廉三氏、井上孝治郎氏、伊関祐二郎氏、平賀健太氏、大隈渉氏、
      高野藤吉氏、正示啓次郎氏、粟沢一男氏
3.議事録
 (1)崔氏と大隈氏によって作成された第4次韓日全面会談第4次本会議の概要会議録が双方の首席代表によって承認された。
 (2)澤田博士は日本側代表団が委員会の構成についての韓国側の提案についてまだ研究中であると述べ、次回の会議までにこの件について韓国側代表団に回答できるよう最大限の努力を試みると述べた。林氏は要求を改め、次回会合時に委員会の構成が完成できるように、韓国側提案に対する迅速な考慮を与えてほしいと述べた。
 (3)次回本会議を1958年5月6日午後3時より開催することで合意した。
 (4)添付のプレス・リリースが双方の首席代表によって決定された。

(32〜33頁)
1958年4月30日、東京
会談要旨
第5次本会議
第4次韓日全面会談

1.時と場所:1958年4月30日午後3時15分から3時30分まで、外務省311号室にて。
2.出席者
  韓国側:前回と同様。
  日本側:前回と同様。
3.会談要旨
 澤田博士:第4次韓日全面会談第4次本会議の概要会議録を承認しよう。
 (ここで、日本側の概要会議録起草担当者の大隈氏が第4次本会議の概要会議録の草稿を読み上げた。)
 林大使:では、韓国側の概要会議録起草担当者の崔氏が韓国側の第4次本会議概要会議録を読み上げる。
 (ここで、崔氏は第4次本会議の概要会議録の草稿を読み上げた。)
 澤田博士:第4次本会議の概要会議録を承認しよう。
 林大使:よろしい。承認した。

 澤田博士:委員会の構成については、わが代表団がまだ研究中である。もちろん、私は、この件について林大使が作成した意見を書き留めてある。この件について、私もできる限り速く結論に達して解決されることを望みたい。しかしながら、本日、われわれはこの件の最終的な決定をあなた方に伝える状況ではない。できる限り研究作業を終えて、貴方にお伝えする。
 林大使:あなたのおっしゃることは理解する。しかしながら、この部分についての日本側の遅延はわれわれを難しくしている。したがって、私は要求を改め、次回本会議から実務が始められるようにできる限り速く研究を終えることを日本側に望みたい。
 林大使:韓国の報道記事は韓日会談について、日本側が委員会の構成に誠意を見せていないと述べている。したがって、われわれはできる限り速く実務に取りかかることで困難を払拭したいと思っている。
 澤田博士:あなたの心情をお察しする。だから、研究が終わればすぐに貴方にお知らせする。この件を可能な限り速く解決することは私の真剣な関心であり望みである。
 林大使:次回本会議の日時を決めよう。
 澤田博士:われわれはいわゆるゴールデン・ウィーク中である。わが側では韓国側提案を研究するために後2〜3日を必要とする。次回までにわが側は最終的な回答をあなた方に出すのが望ましいと思っている。1958年5月6日に次回本会議を開催するのはどうか。
 林大使:いいだろう。
 林大使:3時でどうか。
 澤田博士:異議無し。
 林大使:そのときは、この件での最終的な決定を受け取ることができることを望む。
 林大使:プレス・リリースはどうか。われわれの報道担当官に作成させよう。
 澤田博士:異議無し。
 ここで、韓国側報道担当者の崔氏と日本側の報道担当者の大隈氏が添付の第5次本会議についてのプレス・リリースの草案を準備した。
 第4次韓日全面会談第5次本会議は1958年4月30日午後3時30分に終了した。

―了―

6.6次、1958年5月6日
(40〜42頁)
第4次韓日全面会談第6次本会議概要会議録
1.日時及び場所:1958年5月6日(火)午後3時10分から午後3時20分まで、外務省311号室にて。
2.出席者
  韓国側 林炳稷氏、柳泰夏氏、李ホ氏、崔圭夏氏
  日本側 澤田廉三氏、井上孝治郎氏、伊関祐二郎氏、平賀健太氏、大隈渉氏、
      高野藤吉氏、正示啓次郎氏
3.議事録
 (1)崔氏と大隈氏が作成した第4次韓日全面会談第5次本会議の概要会議録が双方の首席代表によって承認された。
 (2)澤田博士は、委員会の構成に関する韓国側提案の研究結果として、以下の委員会及び小委員会の構成を提案した。
   (@)基本関係委員会
   (A)韓国請求権委員会
     a. 請求権小委員会
     b. 船舶小委員会
   (B)漁業及び「平和線」委員会
   (C)「在日韓国人」法的地位委員会
   林氏は上記の提案を受け入れると述べた。
 (3)澤田博士は委員会の名称に関連して、1957年12月31日の日韓予備会談における結論として合意した事項に修正を加えることはしないことを付言したいと述べた。
    林氏はこの際、1957年12月31日の韓日予備会談の結論として合意した事項を基礎として円滑かつ能率的に進行することを望みたいと述べた。
 (4)1958年5月8日午後3時に次回本会議を開催することで合意した。
 (5)添付のプレス・リリースは双方の首席代表によって決定された。

(43〜44頁)
1958年5月6日、東京
会談要旨
第6次
第4次韓日会談全面会談
1.時と場所:1958年5月6日午後3時10分より午後3時20分まで、外務省311号室にて。
2.出席者
  韓国側:前回と同様。
  日本側:前回と同様。
3.会談要旨
 澤田博士:第4次韓日全面会談第5次本会議の概要会議録を承認しよう。
 (ここで、韓国側の概要会議録起草担当者の崔氏が第5次本会議の概要会議録の草稿を読み上げた。そして、日本側の概要会議録起草担当者の大隈氏が第5次本会議概要会議録の草稿を読み上げた。)
 澤田博士:双方の起草担当者によって作成された概要会議録を承認した。
 林大使:よろしい。承認する。
 澤田博士:では、私から委員会及び小委員会の構成について、以下のように提案することをお許し願いたい。
  1.基本関係委員会
  2.韓国請求権委員会
    a. 請求権小委員会
    b. 船舶小委員会
  3.漁業及び「平和線」委員会
  4.「在日韓国人」法的地位委員会
 林大使:あなたの提案を受け入れる。
 澤田博士:大変感謝する。委員会の名称に関連して、1957年12月31日の日韓予備会談の結論として合意した事項に修正を加えないことを付言したい。
 林大使:この際、1957年12月31日の韓日予備会談の結論として合意した事項を基礎として、委員会が円滑かつ能率的に進行することを望みたいと。
 澤田博士:ありがとう。
 林大使:1958年5月8日に次回本会議を持つのはどうか。
 澤田博士:異議無し。
 林大使:午後3時でどうか。
 澤田博士:異議無し。
 林大使:本日の会合についてのプレス・リリースを作成しよう。
 澤田博士:双方の報道担当者にプレス・リリースを作成させよう。
 林大使:異議無し。
 (第4次韓日全面会談第6次本会議は1958年5月8日午後3時20分に終了した。)プレス・リリースの草案は添付されている。

―了―

7.7次、1958年5月8日

(47〜48頁)
第4次韓日全面会談第7次本会議概要会議録
1.日時及び場所:1958年5月8日、午後3時15分から3時50分まで、外務省311号室にて。
2.出席者
  韓国側 林炳稷氏、柳泰夏氏、李ホ氏、崔圭夏氏
  日本側 澤田廉三氏、井上孝治郎氏、伊関祐二郎氏、平賀健太氏、大隈渉氏、
      高野藤吉氏、正示啓次郎氏
3.議事録
 (1)崔氏と大隈氏によって作成された第4次韓日会談第6次本会議の概要会議録が双方の首席代表によって承認された。
 (2)澤田博士は韓国側が準備できていれば、日本側は委員会のメンバーのリストを交換する用意があると述べた。これに関連して、林氏は韓国側は準備中のため、リストの交換は次の会議に行なうことを希望すると述べた。
 (3)林氏は次のように提案した。委員会の作業の能率的な進行のために、4つの委員会の内、韓国請求権委員会と「在日韓国人」法的地位委員会を最初に始めるのはどうか。韓国請求権委員会については文化財及び船舶問題を関連する小委員会において最初に討議すべきである。「在日韓国人」法的地位問題と韓国文化財及び船舶問題は過去に相当議論されたためである、と。林氏は、韓日会談で討議されるべき諸課題の早期解決に至るためには、上記のような比較的簡単な問題から始めるのが現実的かつ能率的であるとの見解を示した。
 これに関連して、委員会の作業を円滑にするために比較的易しい問題から取り組むべきだという原則に同意しつつ、澤田博士は林氏の提案を拒否することなく、韓国請求権委員会に先立って、「在日韓国人」法的地位委員会から始めたいと述べた。
 現段階ではこの件で次の会議で合意に達するようにより研究することで合意した。
 (4)1958年5月12日午前10時30分に次回本会議を開催することで合意した。
 (5)添付のプレス・リリースが双方の首席代表によって決定された。

(49〜53頁)
1958年5月8日、東京
概要会議録
第7次本会議
第4次韓日全面会談
1.時及び場所:1958年5月8日午後3時15分から3時50分まで、外務省311号室にて。
2.出席者
  韓国側:前回と同様。
  日本側:前回と同様。
3.会談要旨
 澤田博士:第4次韓日全面会談第6次本会議の概要会議録を確認しよう。
 (ここで、日本側の概要会議録起草責任者の大隈氏が第6次本会議の概要会議録の草稿を読み上げた。)
 林氏:崔氏も第6次本会議の概要会議録の草稿を読み上げる。
 (ここで、韓国側の概要会議録起草責任者の崔氏が第6次本会議の概要会議録の草稿を読み上げた。)
 澤田博士:第4次韓日全面会談第6次本会議の概要会議録を承認する。
 林氏:私も承認する。
 澤田博士:先日確定したそれぞれの委員会のメンバーのリストを交換したい。日本側は準備できている。韓国側はどうか。
 林氏:わが側の追加メンバーがまだ到着していないので、リストを完成させるためにあと数日いただきたい。
 澤田博士:わかった。韓国側が各委員会のメンバーのリストを交換する準備ができるまで待つことにしよう。
 林氏:委員会の進行について、私は以下の二つの委員会を最初に始めることを提案する。それは(1)韓国請求権委員会と、(2)「在日韓国人」法的地位委員会である。これらの議題は前回の会談で徹底的に議論されたし、簡単に合意に達するように思われるので、私はこのように提案した。上記の理由により、これら二つの委員会での議論を最初に始めたい。
 澤田博士:会談を可能な限り速く進めるために比較的容易な問題から始めるという原則を立てることに全く同感である。私は「在日韓国人」法的地位委員会を最初に取り上げ、韓国請求権などの他の議題に取りかかることに反対しない。国内的にいうと、すべての問題が各省庁間で相互に関連するものである。したがって、まず「在日韓国人」法的地位委員会から取り上げたい。
 林氏:先の二つの議題は先の会談で充分議論され、すでに相当の理解に達しているので、他の議題に先立ち、これら二つの議題を同時に議論したい。
 澤田博士:日本側としては同時に二つの議題を取り上げるのは難しい。したがって、最初に「在日韓国人」法的地位委員会から始めてから、他の議題に取りかかりたい。
 林氏:では、私から船舶小委員会及び文化財問題を「在日韓国人」法的地位委員会と同時に取り上げたいということを付言したい。この方式で議論する方がはるかに簡潔かつ容易だと思う。
 澤田博士:この会談は実質的な議論がないまま、すでに約3週間も遅れてしまっている。可能な限り速やかに実質的作業に取りかかりたい。したがって、われわれはまず「在日韓国人」法的地位委員会を取り上げて議論してから、引き続き他の議題に取り組みたい。
 林氏:これは私たちの意見だが、船舶及び文化財問題と「在日韓国人」法的地位問題を同時に取り上げた方がはるかに議論しやすいだろう。なぜなら、これらの議題は以前に徹底的に議論され、すでに相当の理解が両国間で得られているからである。
 澤田博士:あなたの提案は常に有効である。私たちは「在日韓国人」法的地位問題から取り上げた後で他の議題に取り組むことに異議はない。議論すべきことが多く、一度にすべての議題を取り上げることはできない。
 林氏:双方の代表団の相違点は韓国側が「在日韓国人」法的地位問題とともに船舶及び文化財問題を同時に取り上げたいとしているのに対し、日本側がまず「在日韓国人」法的地位問題だけを取り上げるべきだと述べていることである。この問題は次回の会議でさらに検討しよう。
 澤田博士:わかった。この問題は次の会議で検討しよう。
 林氏:ところで、過去に徹底的な議論が行なわれ、以前の会談で両国の間で相当の理解に達したという事実から考えると、これらの二つの議題を同時に進めることに何の困難もないということを言明しておく。これらの二つの議題を一度に取り上げることは難しくないと思う。
 澤田博士:国内的に言うと、日本側では関係省庁間の見解を調整するのが大変難しいのである。
 澤田博士:この会合を終えることを提案したい。さらにこの問題を研究しよう。
 林氏:よいだろう。
 林氏:次の会議の日程を決めよう。
 澤田博士:韓国側が各委員会のメンバーのリストを交換する準備ができるまで、待つことにする。
 林氏:リストはすぐ到着すると思う。到着したらすぐに知らせるつもりである。
 林氏:次の月曜日、すなわち1958年5月12日に次回会合を開催するのはどうか。
 澤田博士:月曜日には開催予定の会議がとても多い。したがって、我々としては月曜日に次回会合を開くのは少々困る。
 林氏:では、土曜日(1958年5月10日)はどうか。
 澤田博士:我々としては土曜日に次回会合を開催するのは難しい。火曜日(1958年5月13日)に開催するのはどうか。
 林氏:我々としては火曜日に会議を開催するのは少々難しいと思う。
 澤田博士:では、別の部屋で月曜日(1958年5月12日)の午前に次回会議を開催するように、我々のスケジュールを変えることにする。
 林氏:異議無し。
 澤田博士:午前10時30分に411号室で会議を開催するのはどうか。
 林氏:了解した。
 澤田博士:月曜日に各委員会のメンバーのリストが交換できることを望む。
 林氏:そうしよう。
 林氏:本日の会議についてのプレス・リリースを準備するのはどうか。
 澤田博士:いつも通り、双方の報道担当者にプレス・リリースを任せよう。
 林氏:異議無し。
 (1958年5月8日午後3時50分に第4次韓日全面会談第7次本会議が終了した。)
 プレス・リリースの草稿は添付されている。

―了―

8.8次、1958年5月12日
(63〜65頁)
第4次韓日全面会談第8次本会議概要会議録
1.日時及び場所:1958年5月12日(月)午前10時45分から11時5分まで、外務省411号室にて。
2.出席者
  韓国側 林炳稷氏、柳泰夏氏、李ホ氏、崔圭夏氏
  日本側 澤田廉三氏、井上孝治郎氏、伊関祐二郎氏、平賀健太氏、大隈渉氏、
      高野藤吉氏、正示啓次郎氏、粟沢一男氏
3.議事録
 (1)双方は委員会会合における手続事項につき、以下の通りに合意した。
  (@)言語:
     委員会会合で使用する言語につき、双方は第2次本会議における言語に関する決定にしたがう。
  (A)概要会議録:
     必要なときは、各会合における双方の責任者の決定により、委員会会合の合同概要会議録を作成する。
     概要会議録は英語で起草し、双方の責任者が署名する。
  (B)プレス・リリース:
     必要なときは、各会合の最後に双方の責任者の決定により、各委員会会合のプレス・リリースを作成する。
     このプレス・リリースは第2次本会議で任命された双方の報道担当者を通じて作成される。
 (2)林氏は、第7次本会議でなされた、委員会活動の能率的進行のための方法に関する韓国側の提案についての主張を繰り返した。
    これに対して、澤田博士は4つの委員会の作業を同時に始めることができれば、それが適当な方法と思うが、日本側はできる限り速く漁業及び「平和線」委員会を機能させるという理解があれば、「在日韓国人」法的地位委員会と韓国請求権委員会の作業から始めることに異議はないと述べた。
 (3)双方の首席代表間で、添付の各委員会のメンバーのリストが交換された。また、いつ韓国側の漁業及び「平和線」委員会の責任者が指名されるのかという澤田博士の質問に関連して、林氏は指名がなされたら、日本側の同委員会の責任者にできる限り速く伝えると答えた。
 (4)1958年5月14日午前10時30分に次回本会議を開催することで合意した。
 (5)添付されたプレス・リリースの草稿が双方の首席代表によって決定された。

(67〜69頁)
会談要旨
第8次本会議
第4次韓日全面会談

1.時間及び場所:1958年5月12日午前10時45分から11次まで、外務省411号室にて。
2.出席者
  韓国側:前回と同様。
  日本側:前回と同様。
3.会談要旨
 澤田博士:第7次本会議の概要会議録はまだできあがっていない。したがって、次の議題に進むことにする。
 林氏:異議無し。
 澤田博士:委員会会合の手続き事項を決めなければならない。
 (ここで双方によって合意された委員会会合における手続き事項を読み上げた。その原稿は添付されている。)
 林氏:これで合意しよう。
 澤田博士:異議無し。
 林氏:委員会作業の進行方法について、私が前回の会議で提案したように、韓国側は他の議題を議論する前に韓国請求権委員会と「在日韓国人」法的地位委員会から取り上げたいと考えている。これら二つの委員会を初めに取り上げる理由は、これら二つの議題は以前の会談で十分に議論されており、すでに相当程度の合意に達しているので、比較的かなり容易に合意に達することができるという点にある。
 澤田博士:できる限り速くこの交渉の作業をはかどらせるというあなたの考えに同意する。したがって、各委員会の作業ができる限り速く始められるように努力することを惜しまない。ご存じのように、5つの議題は相互にとても関連している。ゆえに、4つの委員会を同時に機能させるのがもっとも適当な方法だというのが私の意見である。しかしながら、前回の会議でなされた韓国側の提案を注意深く検討したところ、日本側は最速の日程で漁業及び「平和線」委員会を機能させるという理解があれば、「在日韓国人」法的地位委員会と韓国請求権委員会の作業から始めることに意義はないということを述べたい。
 林氏:林氏はとくに何も言わなかった。
 澤田博士:委員会のメンバーのリストを交換することにしよう。
 林氏:よろしい。
 (双方の首席代表が双方の委員会のメンバーのリストを交換した)
 澤田博士:(韓国側のメンバーのリストを検討した後、)漁業及び「平和線」委員会の責任者が指名されていないようだが。
 林氏:責任者は後に我が政府が代表を選べばすぐに指名されるだろう。
 林氏:今回の会談の予備作業が終わったことを喜びたい。予備作業を終え(? vind out )、概要会議録を確認するため、各委員会が始まる前に次回本会議を開催したい。
 澤田博士:異議無し。
 澤田博士:1958年5月14日午前10時30分に次回本会議を開催するのはどうか。
 林氏:異議無し。
 林氏:委員会会合の進行を相談するために、双方の各委員会の責任者をそれぞれ面会させるのはどうか。
 澤田博士:それは各責任者に任せよう。
 澤田博士:1958年5月14日はこの部屋で会うことにしよう。
 林氏:異議無し。
 林氏:今回の会合に関するプレス・リリースはどうするか。
 澤田博士:いつものように報道担当者に任せよう。
 林氏:異議無し。
 (第8次本会議に関するプレス・リリースは添付されている。)
 1958年5月12日午前11時に第4次韓日全面会談第8次本会議が終了した。

―了―

9.第9回
1958年5月14日

(73〜74ページ)
東京の林大使が景武台、外務部長官宛てた電文〔省略〕

(75〜76ページ)
第4次韓日全面会談本会議第9回会合の要約

1.日時、場所
1958年5月14日(水)、午前11時〜午前11時20分
日本政府外務省411号室
2.出席者
韓国側:林炳稷氏
    李?氏
    崔圭夏氏
日本側:澤田廉三博士
    井上孝治郎氏
    カツノヤスシゲ氏
    平賀健太氏
    大隈渉氏
    高野藤吉氏
    正示啓次郎氏
    粟沢一男氏
3.進行
(1)崔代表と大隈代表によって署名されていた第4次韓日全面会談本会議第7、8回会合の要約は、双方の首席代表によって確認された。
(2)林代表は、双方は韓国請求権委員会と在日韓人法的地位委員会の討議から開始するという結論に達したのだから、これら二つの委員会を実際に開始するための調整作業を行った方がよいと考える、と述べた。そして林代表は、在日韓人法的地位委員会と韓国請求権委員会の最初の会議を、それぞれ5月19日と20日に持つことを提案した。
(3)澤田博士は、林首席代表の提案に異論はないと述べた。
(4)今後の本会談は、必要とされる時に、双方の主席代表の決定によって開かれることが合意された。
(5)報道発表(添付されているテキスト)は、双方の首席代表によって決定された。
−了−

(77ページ)
報道発表〔省略〕

(78ページ)
東京、1958年5月14日
第4次韓日全面会談本会議第9回会合議事要録
1.日時、場所
1958年5月14日(水)、午前11時〜午前11時20分
日本政府外務省411号室
2.出席者
韓国側:前回と同じ、ただし柳公使が欠席
日本側:前回と同じ、ただしカツノ代表が今回から参加
3.議事要録
澤田博士:第4次韓日会談本会議第7、8回全体会議要録を確認してはどうか。
(韓国側要録起草担当書記官・崔代表が第7、8回全体会議要録原文を朗読した。同様に日本側要録起草担当書記官・大隈代表が7、8回全体会議要録原文を朗読した。)
澤田博士:第4次韓日会談本会議第7、8回全体会議要録を確認した。
林代表:確認した。
林代表:われわれは韓国請求権委員会と在日韓人法的地位委員会の討議から開始するという結論に達したのだから、これら二つの委員会を実際に開始するための調整作業を行った方がよいと考える。
 そして、第4次韓日会談が始まってからすでに一ヶ月が経過した。双方が委員会の実質的な作業に入るのが遅くなってしまったので、二つの委員会の最初の会合のスケジュールを今この席で決定することを提案したい。
澤田博士:二つの委員会の初回会合の日程の決定を、双方の主要メンバーにゆだねることに合意したと了解している。
林代表:われわれは、この席でその問題を討議する権限を持っているのだが、どのように決定すべきだろうか。


10.第10回
1958年10月1日


(80〜84ページ)
東京から大統領に宛てた電文など〔省略〕

(85〜87ページ)
東京、1958年10月1日
第4次韓日全面会談本会議第10回会合要約

1.日時、場所
1958年10月1日(水)、午後3時〜午後3時25分
日本政府外務省311号室
2.出席者
韓国側:林炳稷、柳泰夏、張?根、李?、崔圭夏、陳弼植、黄壽永、金ハックワン、ハンギボン、厳ヨンダル、林トギョン、盧ジェウォン、李ウォンホ
日本側:澤田廉三、井上孝治郎、カツノヤスシゲ、平賀健太、大隈渉、板垣修、高野藤吉、正示啓次郎、西村健次郎、粟沢一男、長谷川シンゾウ、中川トヨキチ、今井ミノル、菅沼キヨシ、磯田ヨシスケ、ハンダゴウ、タチカワモトイ、イケベケン、土屋ミナオ、小山シロウ
3.議事要録
林大使:この場で再会できて光栄である。第9回会全体会議の要録を確認しよう。まず、崔代表に韓国側要録を朗読してもおう。(ここで、崔代表が第9回会全体会議の韓国側要録を朗読し始めた。その後、日本側要録起草担当書記官・大隈代表が日本側要録を朗読した。)こうして双方の要録が共通していることが確認された。
林大使:韓国側の新しい首席代表を日本側に紹介したい。漁業「平和線」委員会の韓国側主席代表・張m根代表を紹介する。韓国側代表団の主席陣が新しく変わったことになる。今後も新しい首席代表が指名され次第、日本側に通知したい。
 進行上の問題、または他の問題について、われわれは重要な問題を依然として議論していない。今後、種々の委員会を進め、重要な問題に取り組まねばならない。種々の委員会において今回の会議を成功させるために互いに協調し合うことを望む。
澤田博士:張が韓国側代表となられたことを心より歓迎する。張代表は、漁業の秀でた専門家であるばかりでなく、貴国のすぐれた論客でもあると認識している。張代表が参加し力を発揮してくれることによって、今回の会議が両国双方に有益なものとなるよう成功裏に終わることを望んでいる。
林大使:張代表はすぐれた能力の持ち主である。漁業・「平和線」委員会での討論を行えば、張代表があらゆる面で協調的であることがわかるだろう。種々の委員会の開催について、開催時期について何か提案があるか。
澤田博士:漁業・「平和線」委員会が明日開かれることについては異論ない。
林大使:漁業・「平和線」委員会の開催は合意できたが、他の委員会の開催についてはどのようにするのか。その他の請求権についての小委員会(韓国文化財に関する問題)は10月4日(土)、在日韓人法的地位委員会は10月6日(月)、船舶小委員会は来週火曜日か水曜日に開くことを提案する。
澤田博士:原則としては了解した。しかし、現在日本側としては、種々の委員会開催の日取りを決定するには多少の困難がある。例えば、代表の何人かは国会に参加しなければならない。双方の諸委員会の首席代表の間で委員会の再開の日程をどのように調整したものか。
林大使:漁業・「平和線」委員会を含むすべての委員会の開催の日程は、双方の諸委員会の首席代表が決定すればよいのではないか。
澤田博士:林大使は韓国側請求権委員会の開催日については言及しなかったが。
林大使:韓国側請求権委員会は二つの小委員会、すなわち一つは船舶小委員会で、もう一つはその他の請求権小委員会(文化財とその他の請求権)に分かれていると理解している。
林大使:今日の全体会議の報道発表は、次のようにしてはどうだろうか。
澤田博士:問題ないと思う。
(全体会議終了後、崔代表と大隈代表が会し、今日の会議に関しては共同の報道発表は行わないことで合意した。)
第10回全体会議は、1958年10月1日、午後3時25分に終了した。
−了−


(88〜97ページ)
第4次韓日会談での8ヶ月間の交渉の概観(1958年4月15日〜12月20日)〔省略〕


11.第11回
1959年8月12日、続開

(99〜100ページ)
東京の許首席代表が大統領、外務部長官に宛てた電文

第4次韓日会談再開、1959年8月12日、第11回本会議

(1)第4次韓日会談本会議の再開会議は、水曜日午前10時から10時30分まで日本外務省で開かれた。全代表は会談が始まる前に藤山外務大臣を訪問しあいさつをした。日本側の首席代表は澤田廉三博士である。この会議で双方の首席代表は、双方の代表を紹介した後、演説を行った。韓国側は、次回の会議を14日(金)か17日(月)に開くことを提案したが、18日(木)〔火?‐太田〕に開かれることになった。日本側の主要メンバーがその時まで休暇から帰ってこないからである。
(2)上記の結果に対する報道発表がなされた
(3)政府のテキストに沿って演説がなされた。日本側首席代表の演説テキストは次のとおりである。
第4次日韓会談本会議再開会議における日本側首席代表・澤田廉三による演説、1959年8月12日
敬愛すべきみなさま
 今日、日韓会談本会議の再開の席で、日本政府を代表して演説できることをうれしく思う。大韓民国の新しい首席代表と代表を歓迎する。
 第4次日韓会談本会議は昨年12月20日から休会となっており、われわれ双方の政府代表はこの会議の席で再会できる日を待ち望んでいた。最近7月30日、大韓民国政府より、日韓会談を無条件に再開しようとの要請がなされた。日本政府は、両国が可能な限り早期に国交正常化することを変わりなく望むという観点から、それを歓迎し8月1日にその要請を受け入れた。会談が今再開されたことは非常に大きな喜びである。
 両政府が、相互に協調と和解の精神で幾多の困難を乗り越え、本会談を成功させるために、あらゆる可能な努力をはらうことを真摯に望む。
 大韓民国政府が新しく代表団を組織して来たことに深く感謝し、心より歓迎したい。
1959年8月12日、午後3時55分、首席代表 許


12.第12回
1959年8月18日

(102ページ)
第4次韓日全面会談本会議第12回会合〔会議要録なし〕
東京、1959年8月27日
メモランダム:最近の韓日関係の進展について
〔前略〕
第13〔12〕回全体会議において、政府の指示に従ってなされたわが方の提案は、法的地位委員会ができる限り早期に開かれるべきであり、解決すべき三つの問題が法的地位委員会で取り上げられるべきだということだった。(三つの問題とは、(1)日本に引き続き居留する意思を持つ韓人、(2)大韓民国への帰国を望む韓人、(3)日本に居留することも大韓民国に帰国することも望まない韓人、に関する問題のことである。)
〔後略〕


第4次韓日全面会談本会議第13回会合〔会議要録なし〕
東京、1959年8月27日
メモランダム:最近の韓日関係の進展について
〔前略〕
 8月25日の夕方、日本側は上記の二つの会議の日程についてのわが方の提案に同意した。こうして第14〔13〕回全体会議が8月26日(水)午後3時に開かれた。
 この会議で日本側首席代表・澤田は、8月18日の先回の全体会議で韓国側代表が提起した三つの問題を法的地位委員会の議題とすることに日本側が同意すると述べた。さらに日本側は、わが方が法的地位委員会を早期に再開することを強力に要望したことに答えて、8月31日(月)に法的地位委員会を開くことに同意した。
〔後略〕


13.第13回

1959年8月26日

(105ページ)
東京の許首席代表が大統領、外務部長官に宛てた電文〔省略〕


14.第14回

1959年9月8日

(109〜110ページ)
1959年9月8日
第4次韓日全面会談本会議第14回会合

1.日時、場所
1959年9月8日、午前11時〜午前11時10分
日本外務省311号室
2.出席者
韓国側:許政、柳泰夏、兪鎭午、張?根、李?、崔圭夏
日本側:澤田廉三、カツノヤススケ、平賀健太、伊関佑二郎、三宅喜一郎、西原直廉、朝田静夫
3.議事要録
澤田博士:前回の全体会議の公式要録の起案が終わっていないので、今日の全体会議でそれらを確認することができない。
 水産庁での西村〔健次郎〕代表の地位が変わった(同庁の長官〔?確認要〕)ので、西村代表に代わって高橋泰彦氏が漁業・平和線問題担当の日本側代表となることを、韓国側に通知する。代表交代に関する公式の決定は今日の閣議で決定されるだろう。
 韓国側から何かあれば。
許代表:特に述べるべきことはないが、日本側にあれば聞きたい。
澤田博士:現在、在日韓人法的地位委員会は作業を進めているが、他の委員会も法的地位委員会と同様にその作業を再開させることを提案したい。
許代表:異論はない。
澤田博士:いつ、どの委員会を再開するかについていいアイデアがあるか。
許代表:他の委員会も可能な限り早期に再開することを提案したい。日本側に問題がなければ、他の委員会の再開に関する詳細を兪代表と伊関代表の間で調整することを提案したい。
澤田博士:前回の全体会議で「運営委員会」を立ち上げるというわが方の提案と同じ考えのようなので、韓国側の提案に異論はない。
許代表:兪博士が、9月11日の法的地位委員会に出席した後、娘の結婚式に参加するために9月12日(土)にソウルへ行くことを知らせる。兪博士はソウルに約10日間滞在するだろう。したがって、兪博士が不在の間は、崔氏が法的地位委員会の韓国側首席代表となるだろう。
澤田博士:(会釈)日本側を代表して兪博士に祝辞を申し上げる。


15.第15回
1960年4月15日(続開)
〔省略〕

※〔 〕は訳注